最後の予備試験

平成31年の予備試験を最後の予備試験とするために再現答案を晒すブログです。

民事訴訟法 平成30年 予備試験 論文 再現

第1設問1

 本件絵画の売買契約について、代金の一部の100万円が支払われていることから、売買契約の成立自体に争いはない。問題は、契約の当事者がYか株式会社Zのどちらかであるかにすぎない。したがって、Y及び株式会社Zに対する請求相互の関係は、非両立の関係にあるといえる。

 そこで、弁護士L1は、主観的予備的併合という手段をとることが考えられるが、これは認められるか。主観的予備的併合とは、主位的被告への請求が認められないことを解除条件として予備的被告への請求が審理されるものである。このように、予備的被告に著しく不安定な地位に立たせるものであるから、主観的予備的併合は認められないと解する。

第2設問2

1結論

 Xは、後訴で、Yを被告とする訴訟の判決の効力を用いることが可能である。

2理由

 Xが株式会社Zに訴訟告知をすると株式会社Zが参加しなかった場合においても、参加することができた時に参加したものとみなされ、株式会社Zに46条の効力が及ぶ(53条4項)。そして、46条の「効力」とは、共同して訴訟追行した者が敗訴した場合に、敗訴者間で敗訴責任を分担する参加的効力をいう(46条柱書)。そして、参加的効力は、敗訴者間において、判決の理由中の判断についても及ぶ。

 本問では、XY間の売買契約が成立していないという判決の理由中の判断が後訴に及ぶことから、Xは、後訴で、Yを被告とする訴訟の判決の効力を用いることが可能となるのである。

第3設問3

 前述のように、本件絵画の売買契約において、Y側から100万円は支払われていることからすると互いに契約成立自体は認めているといえる。そして、問題は、契約当事者がYか株式会社Zかのみである。そうだとすれば、併合を分離すると当事者がYの場合も株式会社Zの場合とも否定される場合や逆に両方とも成立する場合が生じる可能性があり、判決が矛盾する恐れがある。したがって、このような矛盾を生じる恐れがあることから、分離は違法となる。

 以上のような事情が主張の根拠である。

第4設問1に以下を追加する。

 Y及び株式会社Zに対する請求は、38条後段の要件を満たす。

 また、Y及び株式会社Zは、最初から訴えなければ原告適格が認められない固有的必要的共同訴訟にはあたらないといえる。

                                     以上

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