最後の予備試験

平成31年の予備試験を最後の予備試験とするために再現答案を晒すブログです。

一般教養 平成30年 予備試験 論文 再現

第1設問1

 再配分とは、資源と富のより公正な配分のことである。これは、富や資源の偏在や一極集中を是正し多数者へこれらを分配するためである。このように、再配分には結果的に平等を求めるという特徴がある。この再配分の例として、累進課税があげられる。これは、多額の所得者には多く課税し、少額の所得者には課税を少なくするものである。

 一方、承認とは、差異を肯定的に扱う世界のことである。これは、差異を差異のまま認めることを求めるものであるから、平等を求めない点に特徴がある。この承認の例としては、同性愛者があげられる。同性愛者の存在をそのまま認めてもらうことがこれにあたる。また、心と体の性別が異なる場合もこれにあたる。

 以上のように、再配分は、平等を求める点に特徴があるのに対し、承認は、同性愛者に男性は女性を愛し、女性は男性を愛すべきとするような平等を求めないで、差異を差異のまま認めることを求める点に特徴がある。

第2設問2

 筆者の見解の論拠としては、社会正義の実現実現のためには、「再配分」が必要とされる場面と「承認」が必要とされる場面が異なるという点にあると考えられる。私は、筆者の主張に賛成する。理由を以下述べる。まず、社会正義の実現のために、再配分が妥当でない場面がある。例えば、先ほどの同姓愛者の場合に、同姓愛者に、男性は女性を愛し、女性は男性を愛するように分配することが正義に結びつくことにはならない。また、心と体の性別が異なる場合もこれにあたる。次に、差異を差異のまま認めることが妥当でない場面もある。例えば、富や財産の格差が大きい場合にこれをそのまま認めると貧しい者の生存そのものが失われる恐れが生じてくる。このような場合は、再配分が必要となるのである。以上のように、社会正義の実現のためには「再配分」が必要な場面と「承認」が必要な場面があることから、そのいずれか一方では充分ではないのである。

                                    以上

評価:B 

 

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